メールとか拍手とか、色んなトコで。
井上、手、どうなの?って聞かれるんで。
ちょいとだけ、本文入る前に説明しときまっす。
腕の外側部分っつーのかな。
上腕三等筋側(どこだよそれー!)
小指側から半分の感覚が、ねぇんです。
中指が曖昧で、人差し指と親指はあるよ。
人差し指のチカラなんて、ねぇよーのもんだけど(笑)
んでもって、胸から下(乳首含む)の感覚が、
全くなくなってまってます。残念。
この施設生活編の頃失った部分は、
上記で説明した部分です。
今現在のことは、最後まで読んでくれたらわかるっ!
絆〜Pieces〜 No.21
手の自由がうまくきかなくても。
それでも、なんとかやれるんだということ。
それを、教えてくれたのは、
一番近くにいてくれた、もんちゃんだった。
もんちゃんの左手は、あたしと同じ。
右手がある程度使える分、
あたしには出来ないことも出来たりして。
あたしは、それを「ズルイ」と言って笑った。
そして、週に一回だけ会う坊主。
ヒデ、という少年。
彼は、両手共に指先の自由は、
ほとんどないに等しかった。
あたしと同じ病気で自由を奪われた、かずさ。
彼女の手は、いつも握られていて。
そんな彼女にも、勇気付けられた。
それから・・・レイちゃん。
彼は、食堂での座席が、
あたしの斜め前の兄貴だった。
両手の感覚が、ほとんどない。
鎖骨から下が、麻痺している状態。
それでも、突然シモネタを振ってくるような、
すごく男前な兄貴だった。
そんな、頚椎に問題を抱えた、
手の自由が少しだけきかないみんなが。
あたしに、勇気を与えてくれた。
いつもと変わらぬ喫煙所。
いつもと変わらぬコンビニまでの道。
いつもと変わらぬ、みんなの笑顔。
さり気なく、コンビニのお弁当のパッケージを、
開けてから渡してくれる、北原さん。
缶コーヒーを開けるための道具を、
割り箸を削って作ってくれた、高見さん。
ペットボトルの蓋を開けてくれた、もんちゃん。
自分の不器用な手にイラついていると、
「切っちゃうか?」と自虐ネタを振ってくれた、串田さん。
だから、あたしは、頑張れた。
いつからか、あたしは。
このカラダになってなかったら、
みんなに出逢えなかったということ。
もんちゃんと、付き合っていないということ。
そのことに、気付いて。
このカラダも、悪くないじゃん。
そう、思えるようになっていたんだ。
車椅子で行動するのは、めんどくさい。
段差ひとつで、行けない場所もある。
雨の日なんか、本当に最悪で。
握力のない、あたしの手は、
車椅子を前に進めることも難しい。
不自由だと、思う。確かに。
だけど、この出逢いがあって。
純粋に好きだと言える相手がいて。
そして、好きだと言ってもらえる。
あたしは、不幸じゃ、ない。
不自由になったけど、不幸にはならなかったんだ。
いつから思ったのかすら、思い出せないけれど。
だけど、ふと、そのことに気付いた夜。
あたしは、声を上げて、泣いた。
そして、泣きつかれて眠りについた、
その、夢の中で、あたしは。
初めて、車椅子に乗った自分の夢を、見た。
車椅子をぐんぐんこいで、
涙が出るほど笑ってる自分の夢。
あたしが、完全に。
障害を認めた、瞬間だったんだと思う。
毎晩、消灯後のメールで育んだ、
もんちゃんとの恋。
いつも「ありがとう」を伝えてた。
慣れない、へたくそな、絵文字で。
もんちゃん、という呼び方も、
「だいすけ」に変わった。
最初は、あたしの名前を呼ばなかった彼も、
「まき」と呼んでくれるようになった。
少しずつ、少しずつだけど、
あたしたちの想いは重なり合って、
イロトリドリの、世界を感じられるようになって。
生きてることを、実感した。
ただ。ただ、その頃。
なにより、悔しかったこと。
抱き締めてくれる腕のぬくもりが、
背中に回った、彼の腕のぬくもりが。
感じられない、こと。
それでも、お互いの、感覚のある部分。
そこに触れ合うことで、あたしたちは。
今、ここで、一緒に、生きてる。
そう、感じて・・・
心で、イロイロなものを感じて。
静かに、だけど、強く強く。
足りないものを、埋め尽くすように。
足りない部分を、補うように。
生きていこう。一緒に。
どんなときも、ふたりだから、笑える。
一人前のことが出来ない2人だからこそ、
2人いてこそ、一人前になれるんだね。
そう言い合って、ふたりで。
穏やかな時間を、過ごしていた。
そう。もう、これ以上、
何も悪いことなんか起きないよって。
そう、お互いに、手をとりながら。
あたしたちは、生きていた。
〜続く〜

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