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[ 2008/11/22 10:10 ] | トラックバック(-) | コメント(-)

2つ目の誕生日 

絆〜Pieces〜 No.53

自分自身を認めて、生きていくこと。
「障害者」であることに、引け目を感じないこと。

例え、出来ないことが、多かろうと。
今までのようには、いかなかろうと。

幸せかどうかは、自分で決める。

あたしは、幸せだ。

車椅子で生活をするようになったからこそ、
見えるようになったこと、気付けるようになったこと。
それは、出来なくなったことよりも、
もしかしたら、たくさんあるかもしれない。

障害を抱えたからこそ、出来た仲間たち。
あの日、あの時、あのタイミングで。
そのすべてが、揃わなかったら。
出逢うことのなかった、仲間たち。

同じような障害を抱えているからこそ、わかること。
同じような障害を抱えていても、わからないこと。
それは、それぞれに、あるけれど。

助け合う、笑い合うことの大切さを、
何も考えずに、胸に響かせてくれた仲間たち。

歩けていた頃と、まるで同じように接してくれて。
だけど、いざという時に、頼らせてくれる友達。

もちろん、このカラダになって。
離れていった、友達も、いないワケじゃない。
だけど、その友達たちもきっと。
何年かして、ふと思い出してくれるかもしれない。
街のどこかで、出会うかもしれない。

そのとき、笑って、いたいと思う。

直接、顔を合わせたワケじゃなくても。
それでも、応援してくれる、支えてくれる人たち。

全部全部、みんなみんな。
かけがえのない、たからもの。

あたしは、幸せだ。


あたしには、発症した日がわからない。
このカラダになってしまった日が。
病気は、気付かないうちにやってきて、
気付かないうちに、侵食していったから。

事故の人には、事故った日があって。

言い方はおかしいけれど、羨ましく思う。

ある意味、第2の人生が始まった日。
例え、その日の記憶がほとんどなくても。

その日は、2つ目の、誕生日。

そう思えるようなったら、素敵だと思う。

毎年、その日がきたら。
1年を振り返って、また少し大きくなって。
毎年、祝ってくれる仲間が増えて、
その分、やっぱり大きくなって。

心の強い人に、なれるかもしれない。

そんな、2つ目の誕生日が、
だいすけに、やってきた。

あたしたちは、ささやかなお祝いをした。

だいすけはきっと、まだ少しだけ葛藤していて。
自分を認めたつもりで、どこかで否定していて。
それを、繰り返していた時期だったから、
本当は、お祝いなんて気分じゃなかったのかもしれない。

だけど、少しでもいいから。

出逢えた奇跡を、認められたら。
何かが変わって、だいすけ自身も、
苦しまなくて、すむのかもしれない。

あたしは、そう思って、いたんだ。

事故の日・・・夏の日の、夕方。

今年より、来年、来年より、再来年。
出来るようになったことや、楽しかったこと。
2人で見つけた幸せや、2人だから見れた景色。
そんなことを話しながら、一緒に成長していけたら。

そしたらきっと、だいすけの、本当の笑顔を。
見ることが、出来るんだろう。

そしたら、そのときは。
心からの、おめでとうを、たくさん伝えるんだ。

それまで、焦らず、ゆっくりと。
だいすけの時間の流れを、大切に。
見守って、支えてあげたいと、思った。

本当に、心から。そう、思った。
純粋に、小さな不安も、何もなく。
・・・不安という、何もかもを、忘れて。

〜続く〜

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↑相変わらず、足がゾウさんです。キリンさんのほうがもーっと・・・
[ 2008/08/28 21:08 ] | TB(0) | CM(0)

きっと、大丈夫。 

絆〜Pieces〜 No.52

おにーちゃんの怪我は、
医者も驚くほどの回復を見せた。

もう、移植の心配もない。

本当に何もかもが、だんだんと。
落ち着き始めたような、気がしてた。

そんな、穏やかで優しい、日々。

これから就職活動に追われていく。
だけど、きっと穏やかで優しい毎日は、
変わらずに、何事もなく、続いていく。

そう、思った、ばかりの頃だった。

あたしの、再入院が、決まった。

特にすごく、症状が悪化したワケじゃない。
だけど、この数ヶ月間で、起きたこと。

握力が完全になくなってしまったこと。
感覚のない部分が、増えていること。

それを、再検査してみるのが、目的。

再検査して、何かが見つかるとも言えない。
何かが変わるとも、言えない。
だけど、少しでも、少しでもいいから。
あたしのカラダで起きていることの「何か」が、
もしも、わかるのだとしたら。

これから先、あたしのような人が現れたとき。
救ってあげられるきっかけに、なるかもしれない。

もし、もしも、あたしの家族や友達が。
あたしと同じようなことになったら。

そう考えると、怖いから。

だから、あたしは、再入院を受け入れたんだ。

また、入院生活をするということ。
居心地のいい、穏やかな、この施設を離れて。
大好きな仲間たちと、大好きな、だいすけと、離れて。
また、入院生活をするということ。

それは、あたしの前向きになってきた気持ちを、
最初の頃に、戻してしまうかもしれない。

だけど、怖がらなくていいという気持ちを、
ここで出逢った仲間たちが、教えてくれたから。
だいすけが、そばにいてくれるから。

きっと、最初の頃の気持ちに戻っても、
またすぐに、今のように前を向ける気がするから。

きっと、大丈夫。

病室が空くまで、保留となった再入院。

それまでの時間は、精一杯。
笑って、学んで、団結して。
大好きな人たちと、一緒に過ごして。
大好きな人に、包み込んでもらって。

入院までの時間に、充電しなくちゃ。

再入院も頑張ろう。と。

思って、いたんだ。

―――あの日、までは。

〜続く〜

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↑柳原可奈子が他人とは思えない今日この頃。似てねぇよ!
[ 2008/08/26 22:00 ] | TB(0) | CM(0)

学び舎 

絆〜Pieces〜 No.51

穏やかな毎日が、そこにはあった。

朝の喫煙所で、北原さんと、
モーニングコーヒーを飲みながら、
ノリツッコミのような会話を交わして。

起きたばかりなこと、
早朝だということを忘れて、
大きな声で、笑った。

これから朝食だっていうのに、
突然、昨夜コンビニで買ったパンを、
おもむろに出して食べる北原さん。

朝食の時間をすっかり忘れて、
大幅にオーバーしてから、
食堂に行ったこともあった。

北原さんは、胸の内を良く話してくれた。

今のカラダになったときのこと、
その前にしてきた、色んな出来事。

病気による腰椎の損傷。

それが、北原さんの障害の理由で。
立って、歩くことも出来るけれど、
左脚の膝から下の感覚はほとんどない。
だから、長距離を歩くことは困難で、
バランスも、うまく取れない。

施設での生活をしているときは、
移動時間の短縮だったり、
みんなと過ごす時間の確保のため、
車椅子での生活をしていた。

だけど、週末、家に帰ってから。
彼女と一緒に出掛けるときは、
車椅子を置いて、杖を持って出掛ける。

頑張ってないフリをしながら、影で頑張る人。

本当に大切なもののためだったり、
本当に大事なことのためだったら、
どんなにツラくても頑張る人。

それが、北原さんだった。

毎日、あたしたち仲間のために、
明るく努めて、笑顔にしてくれて。

だから、あたしも、一緒に。

ムードメーカーに、なれたんだ。

ひとりが笑えば、みんなが笑う。
みんなが笑えば、人が集まってくる。

One for ALL
ひとりは、みんなのために

All for One
みんなは、ひとりのために

体育会系なワケでもなければ、
何か試合があるワケでもなくって。

だけど、誰もが、
自分自身に負けないように。
常に戦っている、この場所。

個人戦は、いつでも出来るから。
せっかく、一緒にいるときは、
団体戦で、挑んだらいい。

団体戦の、大切なこと。

思いやりや、信頼する気持ち。
逃げ出さないこと、諦めないこと。

そのことに気付いて、学んで、
だからこそ、今の仲間たちがいると、
心から、そう思えるんだ。

この頃の、穏やかな毎日は、
学んでいる真っ最中だった。

この後に起こる様々なこと。
それを乗り越えていけたのは、
このとき、大きく学んだからだと思う。
そして今も、学んでいるからだと思う。

落ち着きかけた、穏やかな毎日。
あたしの中の、落ち着きかけた気持ち。
仲間の大切さを学びながら、
強くなっていく、あたし自身。

だけど、本当に些細なことでも、
折れそうになってしまうほど、
恋ってヤツは、やっかいだったんだ。

〜続く〜

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↑クルマで1時間半爆睡したら、サルみたいなケツになったヨ!
[ 2008/08/23 21:06 ] | TB(0) | CM(2)

ミライへのヒカリ 

絆〜Pieces〜 No.50

季節は、夏、だった。

夏の暑さに、あたしは弱い。
気温の上昇と一緒に、
あたしの体温も上昇する。

いわゆる、熱中症の状態に、なる。

外に出ることが、イヤになる。
すぐに熱を出して、ダルくなるから。

だけど、喫煙所は、外にあって。
そこだけは、特別だった。

どんなに暑くても、どんなに熱があっても。
みんなといられる、その場所にだけは。
みんなと絆を育んでいる、その場所にだけは。
よっぽどのことがない限り、行っていた。

その気持ちは、だいすけも一緒だった。

だいすけにとっては、事故後初めての夏。

体調を考えても、カラダの適応能力を考えても、
きっと、すごくツラかったに違いない。
それでも、必死で、喫煙所に来るのは、
あたしと同じで、みんなが好きだったから。

あたしたちは、週末の、人の少ない喫煙所で。
朝ご飯のパンをかじりながら、語った。

その週に、みんなと話したこと。
今の自分の気持ちや、考えていること。

これから先の、こと。

あたしは、未来を考えるのが、怖い。
症状が固定せず、動かなくなるカラダ。
それを感じながら生活する、毎日は、
明日を考えることさえも、怖かった。

それでも、だいすけとなら、怖くなかった。

次の休みに、映画に行こう。
花火も、見に行こう。

そんな、約束さえも、怖くなかった。

退所したら、俺は免許取るよ。
でもなぁ、マニュアルに乗りたかったなぁ。

そう言いながら、だいすけは。

車椅子の上で膝を抱えて、
スネた様子を、いつも見せた。

だいすけの、途絶えてしまった夢。
マニュアルのスポーツカーで走り回る夢。

その夢は、あと一歩のところで、途絶えた。

教習所の卒業検定を目の前にして、
だいすけは、車に跳ねられた。
大好きなバイクで、大好きな車に。

皮肉にも、ガソリンスタンドの前だった。

ガソリン、エンジン、バイク、クルマ。

大好きなものたちが重なった場所で、
大好きなものを、諦めなければならなくなった。

その気持ちは、想像出来るものではなくて、
きっと、計り知れないショックだっただろう。

あたしは、どうしても。
マニュアルでは乗れなくても、
大好きだったクルマに、
だいすけを乗せたいと思った。

乗ってもらいたい、と思った。

そして、出来れば、その隣に、乗りたい、と。

運転するだいすけの隣で、はしゃぎながら。
あたしの吸っている、火の付いたタバコを、
だいすけの口にも、咥えさせて。
1本のタバコを、一緒に吸って。

ジュース って言われたら、
はい!っていい返事をして、
ジュースを開けてあげるんだ。

オーディオから流れる曲を、
2人で口ずさみながら。
この曲は却下!って飛ばしながら。

疲れたら、コンビニの駐車場で、
クルマを停めて、2人でシート倒して。
他愛ない会話をしながら、休憩して。

そんな風にして、2人で、
同じ景色を眺めながら、
同じ空気を、感じていたい。

いつの間にか、あたしは。
先のことを考えることへの恐怖が、
ほとんどなくなっていることに、気付いた。

ふとしたときや、
夜、寝る前の少しの時間。
そんなときは、相変わらず、
闇のような未来に怖くなるけれど。

だいすけや、仲間たちが、
その闇を照らす、光のような、気がした。

あたしも、だいすけの。
仲間たちの、みんなの。

ヒカリになれたら、嬉しい。

キラキラ輝く、ヒカリに、
少しでも、なりたいと思う。

〜続く〜

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↑この連載も、後半戦に突入うぃーっしゅ!
[ 2008/08/19 22:16 ] | TB(1) | CM(2)

ピリオドの向こうへ 

絆〜Pieces〜 No.49

言い過ぎたかもしれない。
感情に任せすぎたかもしれない。

せっかく。今まで頑張ってきたのに。
みんなが、平和に仲良くしていられるよう、
少しでも、気まずいことに、ならないよう。

串田さんが、背中を押してくれたから。
仲間のひとりとして、これからの成長も考えて。

やってきた、つもりだったのに。

本当に悪い子じゃ、ないから。
チョット勘違いしたり、度が過ぎたり。
それだけで、本当に悪い子じゃ、ないから。

・・・ないハズ、だから。

そんなことを考える反面、
やっと、解放されるという気持ちも大きかった。

やっと、消灯後の部屋でゆっくりできる。
やっと、気を使って声をかけなくてすむ。

やっと、カラダを求められないで、すむ。

シモネタも言うし、ノリとイキオイで、生きてるけど。
今までだって、それで生きてきたけど。

このカラダになってまで、
愛のないセックスなんて、したくない。

今までのようには、感じないカラダ。
愛があればまだ、気持ちが感じるけれど。
愛のないセックスをしたって、
何も、どこも、感じないと、思うから。

まるで、ダッチワイフ、だから。

どれだけ、考えていたかわからないけど。
冷たかったアイスノンは、溶けきっていた。

新しいアイスノンと交換して、あたしは。
新しい明日がくることを、願いながら。
眠りについて、いた。

次の日。

予想はしていたけれど、本当に想像通り。
タカちゃんに避けられるようになって。

何かがあったのは、一目瞭然。

喫煙所に集まる仲間たちだけでなく、
支援員たち、職員にもわかるほどに、
「何か」があった態度を、取られていて。

それだけ、あたしが言い過ぎたのかな。
キズが、深かったのかもしれない。

そんな気持ちが、あたしの中に、
沸かないでも、なかったけれど。

成人して、色んなもん乗り越えてきて、
今の状況で、何してんだろう、コイツ。

そんな気持ちのほうが、強かった。

何があったのか、興味本位に聞いてくる人。
気付いているけど、聞かないでいてくれる人。
すごくさり気なく、聞いてくれる人。

いろんな人が、いた。

これまでのことを知っていた、
巻き込まれてしまった仲間たち。
彼らには、謝罪の気持ちもこめて、
すぐに、話したけれど。

ただの興味本位だとわかる人には、
いつも決まって、曖昧に笑って誤魔化した。

・・・めんどくさかったから。

あからさまな、あたしを避ける態度は、
彼が今後、人の痛みがわかるようになるとは、
到底思えないほどだった。

タカちゃんのことを考えるのが、
バカバカしく思えて、めんどくさかった。

だけど、あたしの心の中に、
「もう子供じゃないんだから」という、
そんな気持ちは、残っていたから。

同じ施設で、まだ一緒に生活する以上、
タカちゃんのような態度を取ったらいけない。

そう思って、いた。

シカトされても毎日、挨拶を繰り返し。
そこにいれば、話しかけるようにして。

だけどもう、勘違いはされないように、
距離は、置きながら。

みんなに買って帰る、出先からのお土産。
その「みんな」の輪の中に、タカちゃんも含めることで、
少しずつ、少しずつだけど。
ギクシャクした空気は、消えていった。

そうなるまでに、実際。
数ヶ月という時間がかかった。

そして、1年経った今では。
会えば、冗談を言えるほどにもなった。

敢えて連絡を取ることもないし、
連絡先は、もう知らないけれど。
知ろうとも、思ってないけれど。

あの夜、あたしが言った言葉の、
半分でもいい。伝わってくれたら。

半分も理解しなくていい。
1握り分でも、理解してくれたら。

今となれば、そう思う。

どんなにひどい言葉を言われても、
どんなに精神的に追い詰められても。

あたしの、大切な施設生活の中に、
存在していたことは、消せやしないから。

彼もまた、one pieceに違いはないから。

〜続く〜

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↑タカちゃんの話は「紲編」で暴走させてもらうので、お楽しみにー!

今回は追記で拍手&メールに軽くお返事。
[ 2008/08/18 22:30 ] | TB(0) | CM(0)
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